2026年6月19日に行われた参議院本会議にて、参政党の安達悠司議員が刑事訴訟法改正案に関する代表質問を行いました。本記事では、読者の皆様が論点を整理しやすいよう、安達議員の「質問」とそれに対する高一苗内閣総理大臣および平口法務大臣の「回答(答弁)」を論点ごとにセットにしてまとめています。参政党の要望によって盛り込まれた修正案の意義や、今後の刑事司法の課題について詳しく解説いたします。
刑事訴訟法改正案の背景と参政党の修正案
我が国の刑事裁判において、確定した裁判のやり直しを行う特別な手続きが「再審」です。無罪を言い渡すべき明らかな証拠が新たに発見された場合など、非常に厳しい要件を満たす必要がありますが、袴田事件などの長年にわたる冤罪事件を契機に、証拠開示のルールや検察官抗告のあり方を見直そうという長党派の動きが起き、政府案が提出されました。
この法案に対し、参政党が要望した修正案が衆議院で可決されました。修正内容は以下の2点です。
- 検察官が保管する証拠について、任意での開示を適切に行うことを条文上の根拠として盛り込みました。
- 施行後5年後の見直し事項の対象に、「証拠の目的外使用禁止」と「検察官証拠一覧表」の2点を含めることといたしました。
これにより、再審事件において検察官がこれまで以上に証拠開示に協力する環境が整えられました。
論点1:刑罰権行使における「真相解明」の重要性
安達悠司議員の質問 [00:03:26〜]
誤った裁判によって無実の人が処罰されることは絶対に避けなければなりません。「無実の人を謝って処罰してはならない」という大原則がある一方で、一度裁判が確定したとの理由で再審の文戸を閉ざし続ければ、真相解明の機会や刑事裁判に対する国民の信頼を失ってしまいます。刑事訴訟法の目的でもある「真相の解明」について、国家の刑罰権行使における重要性をどのように考えているか、総理の見解を求めます。
高一苗内閣総理大臣の回答 [00:11:03〜]
刑事司法は基本的人権の保障を全うしつつ、事案の真相を解明し、刑罰法令を適正迅速に適用実現する役割を担っています。「罪を犯した人が不当に処罰を免れることも、また罪を犯していない人が処罰されることも、いずれもあってはならない」ことです。適正な刑罰権行使を実現するためには、その前提として事案の真相が十分に解明されることが極めて重要であると考えています。
論点2:検察官による証拠の「任意開示」のあり方
安達悠司議員の質問 [00:03:50〜]
事案の真相解明のためには、検察官による証拠の任意開示が非常に重要です。検察官は公益の代表者であり、「手持ち証拠をこれらに隠したり真相の解明を妨げてはならない」と考えられます。参政党の修正案により「任意での証拠の開示は事案に応じ適切に行うものとする」と明記されたことを踏まえ、今後の検察官の任意開示のあり方について総理の考えを尋ねます。
高一苗内閣総理大臣の回答 [00:11:43〜]
参政党などの共同提案による修正規定は、検察官による任意での証拠提出・開示について、今後とも適切に行われていくことを法律上担保するものです。本法律案が成立した場合には、検察官において任意の証拠開示の運用を従来より後退させないことはもとより、公益の代表者として個別事案に応じ「これまで以上に適切な対応に努めていくもの」と考えています。
論点3:再審開始決定に対する「検察官抗告」の抑制
安達悠司議員の質問 [00:04:44〜]
過去の冤罪事件において、検察官による不服申し立て(検察官抗告)は審理が長期化する原因となってきました。今回の改正案では検察官抗告が原則禁止とされつつも、「十分な根拠がある場合」という制約のもとで許容されています。この改正によって、再審開始決定に対する検察官の抗告検討プロセスにはどのような変化がありますか。法務大臣の答弁を求めます。
平口法務大臣の回答 [00:17:09〜]
本法律案では、決定が取り消されるべきだと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限って抗告できることとしています。さらに、その抗告が十分な根拠に基づくものかどうかを国民がチェックできるよう、抗告の理由などを遅滞なく公表することとしています。そのため、検察当局においては客観的に妥当なものかという観点から組織的に十分な検討を尽くすこととなり、検察官抗告は「より慎重かつ抑制的に行われることとなる」と考えています。
論点4:証拠の目的外使用禁止と一覧表未規定の影響
安達悠司議員の質問 [00:05:23〜]
開示された証拠を目的外に使用した場合に刑事罰を科す規定は、表現の自由や報道の自由など国民の権利・自由を妨げる恐れがないでしょうか。また、今回の法案には「検察官保管証拠の一覧表」に関する規定がありませんが、これが実際の審理にどのように影響すると考えているか、総理に質問します。
高一苗内閣総理大臣の回答 [00:12:35〜]
目的外使用の禁止は関係者の名誉やプライバシー保護が目的ですが、再審手続きやその準備に使用することは許される上、証拠の概要を伝達するなどの行為は禁止されません。違反時の措置も個別事情を考慮するため、国民の権利や自由に不当な影響を与えることはないと考えています。また、証拠の特定は一覧表がなくとも比較的容易であるとの指摘もあり、新設される裁判所による提示命令制度などを活用することで、必要かつ十分な証拠が提出されることになると考えています。
論点5:裁判官の「除斥事由」の新設とその狙い
安達悠司議員の質問 [00:06:12〜]
改正案では、直前の再審請求審に関与した裁判官をその後の再審手続きから除斥することが定められています。しかし、裁判官が少ない地方の裁判所では担当裁判官の数が不足する懸念があります。これは結局、「無罪の心証と思われる裁判官を今後の手続きから排除する狙い」があるのではないでしょうか。また、この論理を他の手続きにも適用していくのですか。法務大臣に尋ねます。
平口法務大臣の回答 [00:19:09〜]
この規定は、再審手続きにおける裁判の公正に不信感を抱かれることがないよう、国民の信頼をより一層確保する趣旨によるものであり、ご指摘のような排除の狙いに基づくものではありません。また、この除斥基準は刑事再審手続きに固有の事情を踏まえて限定的に導入するものであり、他の手続きにおける取り扱いはそれぞれ個別に検討すべき事柄であると考えています。
論点6:新設される「調査手続き」の門前払い懸念
安達悠司議員の質問 [00:06:58〜]
新設される調査手続きにおいて、請求の理由が明らかに該当しないと認める場合のスクリーニング要件は、広く門前払いされてしまう恐れがあります。この要件は、証拠評価を含むことなく、書面上の主張のみによって判断するという理解で良いでしょうか。法務大臣の答弁を求めます。
平口法務大臣の回答 [00:20:30〜]
ご指摘の要件は、再審請求者の主張がすべて真実であると認められたとしても再審開始事由に該当しない場合、いわゆる「主張自体失当」の場合を意味するものです。これに該当するかどうかは個別事案ごとに裁判所において判断されるべき事柄ですが、基本的には再審請求者の主張に基づいて判断されるものと考えています。
論点7:死刑制度のあり方と執行の時期
安達悠司議員の質問 [00:07:41〜]
改正案では、再審開始決定が出された場合の死刑執行停止が名文化されました。誤判に基づく死刑執行は絶対にあってはならない一方、死刑制度を認めている我が国においては、究極の刑罰としての死刑執行の時期やあり方についてどのように考えていますか。総理の見解を求めます。
高一苗内閣総理大臣の回答 [00:14:01〜]
死刑制度の存廃は我が国の刑事司法制度の根幹に関わる重要問題であり、国民世論に十分配慮しつつ慎重に検討すべきです。世論の多数が極めて悪質・凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと変えており、凶悪犯罪が後を絶たない状況を鑑みると、著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては「死刑を科すこともやむを得ない」と考えています。執行については、法務大臣の責任において法に則り、慎重かつ厳正に対処すべきものと考えています。
論点8:新犯人を取り逃さないための「捜査能力」向上
安達悠司議員の質問 [00:08:12〜]
冤罪が発生したということは、新犯人を取り逃した可能性を意味します。真相解明し犯人の身柄確保に向け、暗殺や不審死などの事案において懸念を持つ国民もいます。真実解明の観点から、捜査機関の証拠収集などの捜査能力・体制の強化について、具体的にどのような政策に取り組む考えですか。総理に質問します。
高一苗内閣総理大臣の回答 [00:15:01〜]
刑罰権の適正な行使には事案の真相解明が不可欠です。捜査機関においては、犯罪情勢を含む社会情勢の変化や科学技術の進展などに応じ、客観証拠の収集・分析能力の向上をはじめとした捜査能力の向上や、人材育成を含む捜査体制の強化に不断に取り組んでいく必要があると考えています。
論点9:10年先を見据えた「司法戦略文書」の策定提言
安達悠司議員の質問 [00:09:00〜]
刑事裁判を動かすのは人であり、真面目に取り組む法曹(裁判官・検察官・弁護士)の養成には司法戦略や計画の策定が必要です。しかし、平成19年の推進計画を最後に、20年以上も国家としての司法に関する戦略文書がありません。今後10年先を見据えた「司法戦略文書や計画」を早急に策定すべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
高一苗内閣総理大臣の回答 [00:15:38〜]
法曹養成については中長期的・戦略的な観点から計画的に推進していくことが重要です。政府では近年、大学法学部の早期卒業や法科大学院在学中の司法試験受験を可能とする改革などを行ってきました。現時点で新たな計画を策定することは検討していませんが、社会のニーズを踏まえつつ関係機関と連携し、有為な人材が法曹を志望できる環境作りに長期的な視点を持って取り組んでまいります。
■ 引用元動画情報
【動画タイトル】「真相解明のための刑事訴訟法改正を問う」参議院議員 安達悠司 国会質疑 令和8年6月19日 参政党
【配信チャンネル】参政党 国会質問チャンネル【公式】
【配信元URL】https://www.youtube.com/live/M7PQTSa2oEk

