2026年3月30日に行われた参議院予算委員会にて、参政党の安藤裕議員が、令和8年度予算の年度内成立が困難となった背景および暫定予算案が急遽編成された実態について質疑を行いました。
安藤議員は、予算審議の日程が逼迫した根本原因が前1月の衆議院解散・総選挙にあることを指摘した上で、政府が新設した「社会保障国民会議」という組織が憲法上の三権分立の精神に抵触しているのではないかという重大な制度論を突きつけました。
本記事では、読者の皆様が論理的に全体像を理解できるよう、安藤議員の具体的な問題提起と政府側(総理・財務大臣・国務大臣)の回答をセットにし、冷静かつ公正な第三者の目線から解説と問題提起をまとめました。
論点1:予算の年度内成立遅延の要因と「暫定予算」編成の遅れ
安藤裕議員の質問 [00:00:13〜]
今回の予算審議の日程が異例の引迫をみせ、結果として年度を跨ぐ「暫定予算」を編成せざるを得なくなった最大の要因は、1月23日に行われた衆議院の解散・総選挙にあります。国会の審議時間を十分に確保することは議会制民主主義の根幹です。
財務大臣は「不測の事態に備えて暫定予算を提出する」と説明されていますが、例年通りの審議時間を参議院で確保しようとすれば、年度内成立が不可能なことは当初から明らかでした。これは『不測の事態』ではなく当然想定されるべき事態であり、暫定予算は国会の熟議を担保するためにも、もっと早い時期に編成・提出されるべきではなかったのでしょうか。
片山朝財務大臣の回答 [00:02:46〜 / 00:04:05〜]
政府としては、国民生活に関わる122.3兆円の本予算について、年度内の成立を真摯にお願いし続けるのが前提でございます。しかし、何らかの事情や状況の変化によって年度内に成立しない場合、国民生活に直結する予算の空白(空白期間)は1日も許されません。
財政当局としては、空白が生じないよう常に準備をしており、状況を見極めた上で3月24日の閣議において暫定予算の編成指示を行い、27日に国会へ提出させていただくという適切なプロセスを踏んだものと理解しております。
【解説と問題提起】
安藤議員の指摘に対し、財務大臣から「財政当局として予算の空白を避けるために水面下で常時準備をしていた」という実務的な事実を引き出しました。政府が国民生活の混乱を避けるために暫定予算を提出したこと自体は一定の対応と言えます。
しかし、安藤議員が本質を突いた通り、1月の総選挙の影響で日程が足りないことは最初から分かっていた既定路線でした。
あたかも「国会側の審議が遅れた(不測の事態)」かのような見せ方で直前に暂定予算を出すのではなく、最初から十分な審議日程(30日程度)の暫定予算を組んで国会にじっくりと熟議を促すのが本来の議会への敬意ではないか、という手続きの誠実さを巡る問題提起がなされています。
論点2:本予算が不成立でも「国民生活に支障はない」という暫定予算の設計
安藤裕議員の質問 [00:05:21〜]
今回提出された暫定予算案(4月1日〜11日までの11日間)の中身を拝見すると、高校無償化や給食無償化といった新規の重要政策もきちんと網羅されて計上されています。
つまり、この暫定予算があれば当面の間は国民生活に具体的な支障は出ない設計になっています。政府はこれまで『本予算が通らなければ国民生活に重大な差し障りがある』と繰り返し主張し、国会へ早期成立を迫ってきましたが、実際には暫定予算によって生活は守られるのではないですか。
片山朝財務大臣の回答 [00:06:05〜]
今回の暫定予算は、本予算がすでに衆議院を通過しており、憲法および国会法のルール(自然成立)によって4月11日には確実に成立することが見込まれるため、その期間(11日間)に限定して行政運営上必要最小限の経費を計上した応急的措置です。
ご指摘の通り、これによって直ちに具体的な支障が生じるとは限りません。しかし、例えばこの期間中に非常に甚大災害が発生した場合、暫定予算の日割り計算による予備費は300億円にとどまります。本予算の1兆円の予備費に比べて備えに大きな差が出るため、災害リスクへの万全な備えという観点からも、本予算の1日も早い早期成立が不可欠であると考えています。
【解説と問題提起】
安藤議員の追及により、財務大臣から「今回の暫定予算によって直ちに国民生活に具体的な支障が生じるわけではない」という本音の事実を明確に認めさせました。
これにより、政府が早期成立を迫るための「国民生活が危機に瀕する」というアナウンスが、やや過剰な強調であったことが浮き彫りになりました。
政府側は「災害時の予備費の不足」を理由に本予算の早期成立を正当化しますが、これは「審議時間を短縮してでも予算を通せ」という国会への圧力になり得ます。
国民の生活基盤を守るための暫定予算という仕組みがありながら、十分なチェック(審議時間)を省略させようとする政府の姿勢に対し、国民の代表たる議会の監視機能を軽視していないかという問題提起がなされています。
論点3:行政府にも立法府にも属さない「社会保障国民会議」の憲法上の懸念
安藤裕議員の質問 [00:08:41〜]
現在、政府が進めている「社会保障国民会議」という新たな組織について伺います。参政党の豊田舞子衆議院議員も国会でただしていますが、この組織は憲法上、国家の意思決定を司る「行政府(内閣)」に属する組織なのでしょうか。それとも「立法府(国会)」に属する組織なのでしょうか。どちらの権力機関にも属さない会議体が、国の税制や社会保障の根幹(原案)を決定していくことは、憲法が要請する『三権分立』の精神に抵触するのではないですか。明確な法的正確の説明を求めます。
九国務大臣の回答 [00:09:16〜 / 00:12:04〜 / 00:13:47〜]
社会保障国民会議は、総理の所信表明演説を契機に、自民・公明・立憲・維新の4党が主導する形でスタートした経緯があり、政府は事実関係の説明などの資料提供を行う形で協力しています。
したがって、この会議体は立法府や行政府のいずれか一方に属するものではなく、「参加する各政党と政府による共同開催」という枠組みになります。実際の会議(実務者協議)は議員会館で行われ、有識者会議は民間の会場を借りて開催されています。
私は内閣の国務大臣として出席し、事務方も政府の一員として参加していますが、これは数で押し切るのではなく民主的なプロセスを丁寧に行うための場であり、最終的には政府案として国会に提出して十分な審議を仰ぐため、三権分立には一切反しないと考えております。
【解説と問題提起】
安藤議員の極めて鋭い憲法論に対し、大臣から「行政府にも立法府にも属さない、政府と政党の共同開催という特殊な会議体である」という法的枠組みの曖昧さを公式に露呈させました。さらに、現職の大臣が「国務大臣の立場」でその民間の枠組みに出席している事実も認めさせました。
本来、政策の原案は行政府が責任を持って作成し、それを立法府(国会)がチェックするというのが憲法の定める権力の抑制と均衡(三権分立)の基本です。
政府の最高責任者である総理や国務大臣、そして官僚組織(事務方)が、国会でも内閣の正式な閣僚会議でもない「所属不明の会議」に一体となって参加し、特定の政党だけで事前に法案の骨格を固めてしまう手法は、国会という正式な言論の府を形骸化させ、権力チェックの機能を麻痺させる恐れがあるという、憲政史に関わる重大な問題提起がなされました。
論点4:食料品消費税ゼロによる「価格下落」の不確実性と業界への影響
安藤裕議員の質問 [00:14:35〜]
この国民会議では、総理の悲願とされる「食料品の消費税率ゼロ」が議論されています。総理は物価高に苦しむ中・低所得者の負担軽減が目的であると仰いましたが、先ほどの財務大臣への質問でも明らかな通り、消費税率を8%から0%に下げたとしても、自由主義経済における市場原理(需要と供給)や原材料高騰の影響により、店先の食料品価格が綺麗に8%下がる保証はどこにもありません(実際、過去のドイツの減税でも価格はほとんど下がらなかったデータがあります)。
価格が税率通りに下がらないかもしれないというリスクを抱え、さらに減税であるはずなのに飲食店業界などから強い反対の声が上がっている不思議な現象が起きています。政府はこうした消費税の構造的本質や現場の弊害について、本当に正確に把握した上でこの政策を推進しているのでしょうか。
高一苗内閣総理大臣および片山朝財務大臣の回答 [00:15:37〜 / 00:18:54〜]
(財務大臣答弁)何パーセント下がるかという具体的な試算は持ち合わせておりません。しかし、実務者会議のヒアリングでは、本体価格が上昇する可能性を指摘する声がある一方、ある程度は価格が引き下がるだろうという意見も多く見られます。中・低所得者層の物価高負担は最重要課題であり、議論を見守りたいと考えています。
(総理答弁)価格は事業者が決めるものであるため、8%分ぴったり下がるとは考えていません。しかし、税率が下がったのに価格を据え置けばお店が信用を失い風評に関わるため、一定の下落効果は期待できます。食べること、生きることは人間に最も大事なことであり、少しでも効果があるなら躊躇なくやるべきだという信念で訴えてまいりました。反対意見があるのも承知していますが、消費税は社会保障の安定財源として必要不可欠なものであると考えています。
【解説と問題提起】
安藤議員の念押しに対し、総理からも「8%分ぴったり下がるとは考えていない」という不確実性の事実を改めて公式の場で認めさせました。
また、飲食店業界が直面する「仕入れ税額控除が消えることによる実質増税リスク(前回の質疑で財務大臣が認めた構造)」について、総理は「選挙の時にはそこまで話していなかった」としつつ、競争原理によって消費者はトータルで安くなるという期待感を述べるにとどまりました。
政府側は「少しでも効果があるならやるべきだ」という情緒的な大義名分を掲げますが、市場で価格が下がらないリスクや、仕入れ控除の喪失によって街のラーメン屋や定食屋などの経営が破綻しかねないという税制上の致命的な大穴(欠陥税制)に対する具体的な解決策は、今回も提示されませんでした。
反対派の政党や現場の懸念を最初から排除した会議体で、この構造的リスクを無視したまま結論が導き出されようとしていることへの強い危機感と問題提起がなされ、質疑が締めくくられました。
■ 引用元動画情報
【動画タイトル】「予算の年度内成立を阻止したのは誰なのか?」 参議院議員 安藤裕 国会質疑 令和8年3月30日 参政党
【配信チャンネル】参政党【公式】
【配信元URL】https://www.youtube.com/live/fc7_LLD_LE4

